ミイラを乗せた幽霊船、SAYO号 (The SAYO)にまつわる謎

SAYO号 (The SAYO)

2016年、地元のフィリピン人漁師2人が海をさまようヨットを発見。
全長12mの白い船体の傷みはひどく、沈みかけ、マストもボロボロなそのヨットに異変を感じた漁師たちはすぐに近づきキャビン(船室)を覗き込んだ。
すると、そこには何と座したままミイラ化した男の死体があったのだ。

通報を受けた地元警察はすぐにヨットを港まで曳航、遺体の身元やヨット内部の捜査を開始した。
そしてこのミイラ化した遺体が、2009年にスペインのマヨルカ島を出港して以来、消息を絶ったドイツ人海洋冒険家のマンフレッド・フリッツ・バヨラト氏(59)だということが判明した。

ミイラ化して発見されたマンフレッド・フリッツ・バヨラト氏

マンフレッド・フリッツ・バヨラト氏

マンフレッド氏は過去20年間、「SAYO号」と名づけたこのヨットに乗り込み、世界の海を股にかけて冒険してきた。
2008年の冒険中に長年連れ添った妻クローディアさんと離婚したが、その2年後、クローディアさんはガンによって53歳の若さでこの世を去っている。

近年はFacebookを通して知人たちに旅の様子を発信していたが、ある時更新がパタリと止まり、その後は誰もマンフレッドさんと連絡を取れない状態が続いていた。
そして今回、彼が航海中に命を落としていたという事実が判明したのである。

ベテラン船乗りに何が起こったか

マンフレッド氏はキャビンの机に突っ伏すような姿勢で息絶えていた。
手元には無線機が転がっており、最期の瞬間まで外部との交信を試みていたことがわかる。

外傷を受けた痕跡はなく、死因は心臓発作の疑いが強い。しかし今のところ正確な死亡時期は不明である。
遺体は腐敗した後、潮風と高い気温によって白骨化を免れ、ミイラ化したものと考えられている。

彼を知る船乗りからは「非情に熟練した船乗りだった。嵐に巻き込まれることなんてないはずだ。マストが壊れていたのは、恐らく彼の死後のことだろう」と語る。

今にも起きだしそうな姿勢で見つかったこのミイラ、消息を絶った彼の7年間を知るものは誰もいない…。

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